[history]
享保17年(1732)に渡邉家の初代久右衛門が当地で「荒城屋」と称して業を起こし、2代目久右衛門は両替業を始めると共に生糸を製造して京都に販売し、産を成しました。渡邉家が酒造りを始めたのは明治3年(1870)、5代目久右衛門章でした。生糸の商いで京都に旅した折に口にした酒の旨さが忘れられず、自ら居するこの地に酒蔵を構え、旨い酒をとの一心で酒造りを始めました。
[location]
当蔵のある飛騨古川は、東は「乗鞍岳」「穂高岳」西は白山連峰に囲まれた高冷地です。冬は大変寒く、氷点下15度まで下がり、毎年1月~2月にかけて蔵がすっぽり埋まるほど雪に覆われます。降雪により空気は清浄化され、雪に埋もれた酒蔵は、酒造りに好適な室温が大きな変化もなく保持されます。この環境のもとで清酒の醪(もろみ)は低温長期の発酵経過をたどり、きめ細やかで香りよい酒ができあがります。困難を乗り超えてきた飛騨びとの力強さと酒造技術は、飛騨の厳しい寒さから生まれたのです。
[people]
それぞれの酒蔵には追い求めるものがあります。蓬莱が追い求めるものは「米のいのちを生かすよう、真っ直ぐに醸す、心や人間性の酒造り」。伝統と手造りを重視し、古い木の道具を使い、じかに感じる香りや手触りを大切にしています。